痛みについて
ここでは痛みについて説明します。
トリガーポイントと関連痛について
トリガーポイントとは?
腰を押すとお尻のあたりにジワ~と痛み出ることはないですか?
お尻や太ももの裏などにジワ~と痛みが出ることが有りませんか?
痛い場所を触っても痛むようなしこりはない、しかし痛い、
と感じたことはありませんか?
それはトリガーポイントが原因で起きる関連痛が考えられます。
トリガーポイントと呼ばれる状態は圧痛点(コリ)の状態になっています。体全身の筋肉にあらわれます。
トリガーポイントの特徴のひとつとして「関連痛」を引き起こすという現象があります。
これは痛みを感じている場所に原因となるしこりが見あたらず、痛む場所とは別の所に原因となるしこりがあるという現象です。
トリガーポイントを押すと、「関連痛」と呼ばれる痛みが他の筋肉などの領域にジワ~とひびくような痛みなどが現れてきます。
◆「筋膜痛と機能障害 トリガーポイント・マニュアル」で紹介されている関連痛の中で、もっとも遠くまで関連痛が出るのは、足のふくらはぎの筋肉のトリガーポイントで、同じ側の頬に痛みを出すこともあると言われています。
筋肉中にトリガーポイントが形成されると、痛みが出ると同時にその筋肉が充分に伸びなくなり、その結果、骨や関節を通じて他の筋肉にも影響が及びます。
◆トリガーポイントの特徴
- トリガーポイントのある筋肉は動作をするときや、運動をするときのように筋肉が縮むと痛みが出る。
- 筋膜(筋肉を包んでいる膜)トリガーポイントはエネルギーの消費が高く、血液循環の悪いところにある。
- トリガーポイントのある筋肉は短縮したままの状態になっている。
- 活動性トリガーポイントになると十分な治療を行わないとトリガーポイントは消えにくい。
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トリガーポイントの好発(よく発生する)部位は、筋肉が骨に付着する部分、筋肉と筋肉が連結する部分、筋腱移行部、また力学的にストレスのかかりやすい場所などです。そして、その多くは筋膜に存在します。最近では、特に重積した(厚くなっている)筋膜にあることがわかってきました。またトリガーポイントは筋膜以外に、腱・靭帯・脂肪などの結合組織=Fascia(ファシア)にも存在します。
潜在性トリガーポイントと活動性トリガーポイント
トリガーポイントには潜在性トリガーポイントと活動性トリガーポイント があります。
関連痛の痛みが出る状態で分けられています。
しこり部分を押すと関連痛が出るものと、しこりなど押さなくても痛みが出ているものが有ります。
◆潜在性トリガーポイントとは筋肉のしこりが冷えや筋肉の緊張で血液循環が悪くなることで潜在性トリガーポイントに発展します。
その潜在性トリガーポイントを圧迫すると、圧痛に加えて他の離れた筋肉に痛み(関連痛)が放散する状態です。
◆活動性トリガーポイントとは潜在性トリガーポイントが何らかの原因でさらに血液循環が悪くなることによりさらに活性化すると、活動性トリガーポイントになります。
活動性トリガーポイントのある筋肉は運動範囲が限定されたり、筋力の低下も見られます。
活動性トリガーポイントが出来ると、そのしこりに圧泊などの刺激を加えなくても自発痛(関連痛)が生じています。
トリガーポイントの原因
現時点でははっきりした原因は分っていませんが、
同じような動作を繰り返すことや、ずっと同じ姿勢を維持することで、特定の筋肉を収縮することになり、エネルギーが不足し、筋肉の血液循環が悪くなり、トリガーポイントが形成されと考えられます。
◆トリガーポイントが増悪する状態
- 特定の筋肉を伸ばしたままの状態のとき
- 特定の筋肉を縮ばしたままに状態のとき
- 長時間同じ姿勢でいるとき
- 持続的あるいは、繰り返しの筋肉を使ったとき
- 寒い、あるいは湿度が高い不快な天候のとき
- トリガーポイントの圧迫
- 風邪などの体調不良と精神的ストレスがあるとき
- 冷房
トリガーポイントが起こす様々な症状
トリガーポイントが起こす様々な症状を「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」と呼ばれています。
トリガーポイントが起こす症状は「痛み」「こり」だけではなく様々な症状を出すことがあります。
<症状>
- 痛み・凝り
- しびれ感(ジンジンする、ピリピリするなど)
- 感覚の麻痺
- 感覚の異常(味覚、聴覚、触覚、視覚など)
- 筋力低下
- 関節の可動域制限
- 自律神経失調症状
このようにトリガーポイントは様々な症状を引き起こしますが、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)は別の疾患として診断されてしまう事があります。
- 例えば耳鳴りは咬筋(食べ物を噛む筋肉)のトリガーポイントであることがあります。
- 故ケネディ大統領の腰痛
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)を初めて発表した医師で米国のジャネット・トラベル医師とディヴィッド・サイモンズ医師ですが、故ケネディ大統領の主治医であったジャネット・トラベル医師の故ケネディ大統領にまつわる有名なエピソードがあります。
故ケネディ大統領はトラベル医師に会う以前に数回腰の手術を行ないましたが、症状は改善せずいっそう悪くなりました。
そこでトラベル医師の治療を受け、トリガーポイント治療を行なったところ腰痛の症状が見る見る間に改善されました。
トリガーポイントの治療
筋膜の癒着や疲労、緊張したしたトリガーポイントのある筋肉をいくつかの手技で血液循環の改善を行ない、トリガーポイントの解除を行なっていきます。
また、関連痛がどこに出てくるかというパターンも把握されてきたため、その治療効果は飛躍的に向上しています。
今までの「痛み常識」は、それでいいのかな?
腰痛を例にとって検証してみましょう
老化した骨、変形した骨は本当に腰痛になるのでしょうか?
「歳だから仕方がないね!」とよく聞きますが、本当にそうでしょうか?
初めて腰痛を経験する年代は30代が最も多く、次いで40代、20代と続き、50代以降で初めて腰痛を経験する人は減って行きます。
構造異常が問題で、腰の曲がった老人の人はみんな腰痛でしょうか?
腰が曲がっていても痛くない人は多くおられますよね!
<当院の考え>
構造異常がすべて痛みに関連しているとは考えていませんません。
歳だから仕方がないね!この言葉は無視しましょう!
腰痛は筋肉を鍛えれば治る?
トリガーポイントは繰り返し筋肉に負荷をかけすぎると、活性化します。
例えば長時間クロールで泳ぐことで、お尻の筋肉にトリガーポイントが発生し、痛みで筋肉に力が入らないことが有ります。
<当院の考え>
適度な運動は筋肉の活性化に有効ですが、過度の運動の場合、運動の前後にストレッチなどのケアーを忘れずに行ないましょう。
椎間板ヘルニアが腰痛を起こしている?
ヘルニアの症状があっても痛みを感じない人も多くいます。
逆にヘルニアがなくても痛みを訴える人も多くいます。
<当院の考え>
ヘルニアによってすべての痛みやしびれが出ているとは考えていません
腰痛を起こした時は安静が一番?
最近、多くの研究で安静を続けると、回復が遅くなり、再発する確率も高なると言われています。
ただし急性期の炎症状態のときは安静にしてください。
しかし必要以上に安静にしないで、少しずつ体を動かしましょうね。
<当院の考え>
適度な運動は血液循環の改善になります。
ぎっくり腰のときでも過剰に安静にすると回復がかなり遅れます。
ここでは腰痛を例にとって検証しましたが、これらの痛みは腰痛だけでなく、ひざ痛、肩痛、なども同様です!